2012年02月

真空管アンプへの誤解の一つに、ノイズが多いというものがある。確かに、昔の真空管アンプは、現在のソリッドステートアンプと比べて、ノイズが目立つものがあったのは事実だと思う。でも、現代の良く出来た真空管アンプではそのような問題はまず無い。
 
方式によらず、ノイズの目立つアンプはダメなアンプだと、私は思う。一般的には、パワーアンプの残留雑音は、最低限、1mV(聴感補正無し)を切りたい。個人的には、100dBほどある高能率のアルテックでも大丈夫なようにする場合には、0.7mV以下が目標である。さらに、0.3mV以下になると、スピーカーからもっと微小な音もききわけられるようになるので、欲を言えば0.3mV以下にしたい。
 
私の作った300BPPアンプはWE300B復刻版を実装した状態で、残留雑音は0.14mV。アルテック604-8Gに繋いで、スピーカーに耳を付けてもノイズは出ない。
 
タンノイ ウエストミンスターには、Cello Encore Power Monoというソリッドステートアンプが繋がれているが、このアンプよりノイズは少ない。Cello Encore Power Monoだと、ツイーターに耳を近づけるとかすかにシャーという音が聴こえるが、私の作った300BPPアンプだとほぼ無音である。
 
あと、残留雑音のノイズの質も問題になる。私が、電源部にも高価なフィルムコンデンサを使うことが多いのは、フィルムコンデンサの方が長寿命であるということもあるが、同じ容量であっても電解コンデンサだとシャーと耳に付くノイズになることが多いのに、フィルムコンデンサの場合には、スーッという感じで耳に優しいノイズになるから。聴感上のノイズの質が良いのである。
 
現在製作しているSV-811-3シングルアンプは、残留雑音では1mVを切るのがやっとだろうと思う。フィラメントが、6.3V/4Aと大きいからだ。三栄無線のキットの845シングルアンプを手放してしまった理由の一つが残留雑音の多さ。1.5mV位だった。211や845は10V/3.25A。残留雑音は1mV程度にするのがやっとで、0.3mV以下にするのは難しい。

イメージ 1
AC一次側配線のみ終わりました。本日、これだけやっただけで嫌になって終了。

イメージ 1
コンデンサーや抵抗などの電子部品は、同じ性能規格を持つものであっても、年代が新しくなるにつれてコンパクトになります。
 
左の赤いWIMAのフィルムコンデンサ、上はかなり前に製造された630V/0.22uF、下は現行品の630V/0.47uFで、新しいものは容量が大きいのにこれだけコンパクトです。右は古い16V/10000uFと現行の25V/10000uF。耐圧が高いものの方が大きいはずなのに、新しいものはコンパクトです。
 
小さくてコストの安い部品の方が、部品の集積度を高めることが出来るので、一般の電気製品に使うのには良いでしょうが、音質を重視したオーディオではどうでしょうか?昔の大きくて重い電解コンデンサの方が音が良かったような?気のせいなら良いのですが。電解コンデンサは生鮮食品と同じで、古いと劣化しているものもあり、新しいものを使う方が良いので、悩ましいところです。
 
抵抗やフィルムコンデンサなら寝かせておいてもそう劣化はないので、使いそうな部品で無くなりそうなものはストックするようにしています。
 

イメージ 1
一応全部揃いました。地元のマルツ電波さんで手に入るものは買い、無いものは通販で入手。もちろん、手持ちで使えそうなものは使うつもり。湿式銀タンタルも写ってますが、これは初段のカソードのバイパスコンデンサ。
本当は、信号が通るような部位には、一般品ではなくこだわりの銘柄のパーツを使いたいのだけれど、それは後から交換するつもり。

イメージ 1
これらは、いずれも進相コンデンサだが、6AR6CSPPアンプに使用したとき、左の黒いやつはどうもダメだ。低音が締まらず解像度が出ない。使ったのは、ダイオードとチョークコイルの間。左のは9.5uF/400VACで、右が17.5uF/370VAC(GE製)。
イメージ 3
赤丸で囲ったところに使っていた。
 
イメージ 2
未知の部品を使うとき、その評価には時間がかかる。一般的にオイルフィルムコンデンサは、電解コンデンサよりもエージングに時間がかかる。だから、半年待ったのだが、どちらも45φの大きさなので、ついに取り替えてしまった。セミ・チョークインプットなので、容量が多くなったぶん、出てくる電圧が高くなったが、それは5V程度。変えて30時間程度使ったが、低音の締まりや全体の解像度がまるで違う。
 
この2つのコンデンサはいずれももらい物で、くれた知人は、「やっぱり、GEの缶入りが断然良いでしょ。」ということで、左の黒いやつは廃棄処分となった。

↑このページのトップヘ