現状、SG-50シングルアンプを製作中なのだが、巨大なRCA806をチラチラ眺めながら、シングルアンプにするとして、出力段はどうすべきなのか、そのような動作でどの位の出力が取れるのか、脳内で考えてみた。
まず、使用する出力トランスの規模がバカでかくなるので、市販のもので間に合うものはあるのか、ネットで色々調べた。そうしたら、有るんだな、使えそうなものが。
Hammond 1642SE
出力:75W 一次側5KΩ 最大電流300mA インダクタンス53H 二次側4-8-16Ω 重量28ポンド(約12.7Kg) 211 572 811A 845 などのパラシングル用
でもって、値段も1個3万5千円位と、大型の割にリーズナブル。仮に、これを使うとして、ロードラインを引いてみた。
プレート負荷:5KΩ プレート電圧1100V グリッドバイアス-30V プレート電流120mA
この時、-150V~+90Vまで振幅させたとすると、計算上出力は48W位とれる。実際には出力トランスの挿入損失が-10%程度あるから少なくなるけれど、それでも40W以上の出力となる。
1000Vを超える高電圧が嫌だから700V前後に電圧を落として使う場合も考えてみた。
Hammond 1642SEの二次側16Ωの端子を8Ωとして用い、一次側を2.5KΩとしてロードラインを引き、プレート電圧680V グリッドバイアス+30V プレート電流200mA -80V~+140Vまで振幅させると、47.5Wの出力となる。この場合でもシングルで40Wが可能。しかし、大きなハードルがある。
グリッドプラス側に振り切った時、どのくらいグリッド電流が流れるのか見てみると、5K負荷1100Vでの-90V/280Vだと約30mAで済むが、2.5K負荷680Vでの-140V/170Vだと80mA以上のグリッド電流が流れる。もしも、カソードチョークドライブでならカソードフォロワ段の真空管に最低でも常時80~90mA流さないとグリッド電流に対抗して振り込む事ができない。そして同時にp-p220V以上を振り込めるドライバー段を構築しなければいけない。この動作だと必然的にダンピングファクターが低くなるので、NFBが必須だな。いやいや、とても大変だ~。
市販の845アンプのドライバー球に300Bが使われている機種があるけれど、RCA806を2.5K負荷680Vの動作でフルドライブしようと思うと、300Bでは80~90mAという大電流を流すことは出来ないから、300B程度の球では無理だという事になる。当然、6CA7や6L6GCの三結でも無理。常時100mAの電流を流せる球というと、KT150を三結にすれば可能か。やっぱり、大規模なアンプになるなあ。
頭の中で考えて口だけ言うのは簡単だけど、やっぱりハードルは高いや。でも、こんなふうにあれこれ考えるのが楽しいのです。