2018年08月

現状、SG-50シングルアンプを製作中なのだが、巨大なRCA806をチラチラ眺めながら、シングルアンプにするとして、出力段はどうすべきなのか、そのような動作でどの位の出力が取れるのか、脳内で考えてみた。

まず、使用する出力トランスの規模がバカでかくなるので、市販のもので間に合うものはあるのか、ネットで色々調べた。そうしたら、有るんだな、使えそうなものが。

Hammond 1642SE
出力:75W 一次側5KΩ 最大電流300mA インダクタンス53H 二次側4-8-16Ω 重量28ポンド(約12.7Kg) 211 572 811A 845 などのパラシングル用 

でもって、値段も1個3万5千円位と、大型の割にリーズナブル。仮に、これを使うとして、ロードラインを引いてみた。
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プレート負荷:5KΩ プレート電圧1100V グリッドバイアス-30V プレート電流120mA 
この時、-150V~+90Vまで振幅させたとすると、計算上出力は48W位とれる。実際には出力トランスの挿入損失が-10%程度あるから少なくなるけれど、それでも40W以上の出力となる。

1000Vを超える高電圧が嫌だから700V前後に電圧を落として使う場合も考えてみた。
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Hammond 1642SEの二次側16Ωの端子を8Ωとして用い、一次側を2.5KΩとしてロードラインを引き、プレート電圧680V グリッドバイアス+30V プレート電流200mA -80V~+140Vまで振幅させると、47.5Wの出力となる。この場合でもシングルで40Wが可能。しかし、大きなハードルがある。
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グリッドプラス側に振り切った時、どのくらいグリッド電流が流れるのか見てみると、5K負荷1100Vでの-90V/280Vだと約30mAで済むが、2.5K負荷680Vでの-140V/170Vだと80mA以上のグリッド電流が流れる。もしも、カソードチョークドライブでならカソードフォロワ段の真空管に最低でも常時80~90mA流さないとグリッド電流に対抗して振り込む事ができない。そして同時にp-p220V以上を振り込めるドライバー段を構築しなければいけない。この動作だと必然的にダンピングファクターが低くなるので、NFBが必須だな。いやいや、とても大変だ~。

市販の845アンプのドライバー球に300Bが使われている機種があるけれど、RCA806を2.5K負荷680Vの動作でフルドライブしようと思うと、300Bでは80~90mAという大電流を流すことは出来ないから、300B程度の球では無理だという事になる。当然、6CA7や6L6GCの三結でも無理。常時100mAの電流を流せる球というと、KT150を三結にすれば可能か。やっぱり、大規模なアンプになるなあ。

頭の中で考えて口だけ言うのは簡単だけど、やっぱりハードルは高いや。でも、こんなふうにあれこれ考えるのが楽しいのです。


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以前のEL34シングルアンプのシャーシーを塗り直し、同じサイズのXE-20S、LC10-200Dを付けてみると、かなり雰囲気は変わる。電源トランスのノグチPMC-170MはタンゴMX-205より少し小さいので、若干隙間が多くなったが、気にしない。
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この本は、1992年頃発刊されたが、だいぶ後になって、私がSPレコードに興味を持つようになった頃、入手した。巻末にSPレコードのHi-Fi再生法というのが載っていたからだ。

しかし、今になってEimac327Aというグリッドプラスで動作させる真空管のシングルアンプを作った事、将来的にRCA806という大型送信管でシングルアンプを制作しようと計画している事で、改めて再読している。オーディオ用の真空管がたくさん有った時代には見向きもされなかった送信管を用いて、高音質なシングルアンプを制作し、イントラ反転回路というものを発明した(特許取得)宍戸公一氏の功績は大きいと思うし、氏に対しては畏敬の念すら覚える。

今となっては、宍戸氏が発表されたシングルアンプに使用された真空管も往年の米国製の真空管もほぼ枯渇してしまって高騰してしまっているものもあるが、それでも普通のオーディオ用直熱三極管よりは安い。

グリッドプラスで動作する送信管をドライブするのには、以下の3つの回路が良く用いられる。
1)ダイナミック・カップル
2)イントラ反転回路
3)カソードチョーク・ドライブ

しかし、私は、2)イントラ反転回路では、まだアンプを制作したことが無い。理由は、良いインターステージトランスが高価で入手困難だということ、イントラ反転回路は思いの外、動作点を決めるのが難しい事。Eimac327Aシングルアンプでも、カソードチョーク・ドライブなら容易に20W超えの出力が取り出せるのに、イントラ反転回路ではそこまでの大出力を取り出そうとすると結構大変だということがあった。

1)ダイナミック・カップルは、コストは安くなるが出力管の動作点に合ったドライバー管を見つける事が前提にあり、これが結構難しい。さらに、グリッド電流が流れなくなるグリッドマイナス領域では動作しないので、グリッドマイナス領域までスイングさせる出力管だと出力が大きく取れない。グリッドプラス領域のみで動作する管専用の回路であるといえる。

3)カソードチョーク・ドライブでは、グリッドマイナス領域でも動作させられる事が長所として大きい。また、ドライバー管の選択幅が広がること、カソードチョークは音楽信号が通らないので、ローコストなガラ巻きのチョークでも理論的に音質劣化が無いので、良いインターステージトランスが命のイントラ反転回路よりもローコストで良い音質のアンプが出来るというメリットが大きい。実際私がEimac327Aシングルアンプで使ったカソードチョークは、1個¥3000位の安価なチョークだが、良いインターステージトランスは最低でも1万円以上から数万円になってしまう。

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2007年に上の写真にある、SG-50シングルアンプ(オリジナル’50も使える)を制作し、10年が経過した。

SG-50シングルアンプ

このアンプは、音質がかなり気に入っているが、当時、SG-50の性能諸元が解っていなかったので、前段にパワー管を用いても良いように余裕のある+B電源容量を持ち、なおかつオリジナル’50の最大定格で使えるような特注のトランスを使ったり、電源部はフィラメント電源以外は全てフィルムコンを使ったりして、無駄の多いアンプでもある。

EL34/6CA7シングルアンプ
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は、最近ほとんど稼働しないので解体し、もっとリーズナブルなコストでSG-50アンプを再度組むことにした。

10年前に組んだSG-50シングルアンプの回路と基本的に同一の回路で、グリッドチョークを用いるのも同じ。OPTもXE-20S、電源のチョークもLC-10-200Dを使うのも同一だが、電源トランスはコストダウン、ノグチのPMC-170Mを使い、350V-0-350Vの巻線から+B電源を供給し、フィラメント電源は6.3V巻線をショットキ・バリア・ダイオードで整流し、約7Vを得る予定。さらに、電源部には高価なフィルムコンなどは使わず、普通の電解コンを使用し、その他のCRパーツも普通品を使い、特殊なオーディオ用パーツは使わず、コストを抑える。

そんなわけで、早速、シャーシを再塗装した。
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EL-34/6CA7シングルアンプでは、電源トランス」がタンゴMX-205だったが、今回使うノグチPMC-170Mは取り付けネジ寸法が異なるので、赤丸の部分に切れ込みを入れ、ノグチPMC-170Mが装着出来るように改造した。

OPTとChが同じで回路もほぼ同じ。若干+B供給電圧が低くなるが、どの程度音質が違うのか、今から楽しみ。

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これが入手した4本のRCA806

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これが、入っていた箱。

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このように、二重箱になっている。

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開けるとこんな梱包材料に包まれていた。

見ているだけで、普通の真空管には無い威容に圧倒されます。

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